今日は特にツアーの予約もしていない。急いで食事をする必要もないため、11階建てのホテルの屋上に上って、しばし街を眺めてみた。
汚れてはいるもののパステル調のミニホテルが林立する様はなかなかかわいらしい。「ここだったら1年くらいは居住しても大丈夫かな。」
なんて事も思えてくる。
最上階には一応食堂があるということで、行ってみると客は私一人。チキンヌードルというのを頼んでみると、
出てきたものはなんとインスタントラーメン(それもまさにチキンラーメンにそっくり) まぁこんなこともあるわな。
食後にコーヒーを頼んでみた。そういえば、ベトナム名物だというのに、まだこれが一杯目というのも自分ながら不思議な感じである。
飲んだ印象はというと、濃くて(少しトロみがあって)味自体は美味しいのであるが、ドリップ中に冷めてしまっているのがやや難という所か。
練乳との相性は非常に良い。
今日はどこに行こうかな・・・ そういえばベンタン市場に行ってないな。ということで、ベンタン市場を訪れることに。
ベンタン市場(Cho Ben Thanh) は言わずと知れた、ホーチミン中心部のランドマークである。
行きのバスでおばちゃんが言っていたり、ガイドブックにも掲載されていることから、この市場では、スリが多いということらしい。
中でも抱きついてポケット鞄をあさるという手口が代表的なそうな。
入り口近くにある衣料品コーナーを通ると、早速「キャッチセールス」ならぬ「タッチセールス」の嵐が。
とは言っても若い目の女性店員による攻撃はまんざら不快なものではなかったが・・・
スキンシップのついでに、定番の土産物である「ホーおじさんTシャツ」を数枚購入する。
ベトナム国旗と独立の父・ホーチミンの似顔絵がプリントされたTシャツであり、1枚1USドル弱なので、
値段の割りには話のネタになる土産物と言えよう。
奥に進むと日用品、フードコート、食料品売り場と確かになんでもある市場だ。インスタントラーメンのリベンジと、
フードコートにて生春巻き(ゴイクン)とつくねを食べてみる。美味しくはあるが、日本で売っているのとさほども差がなく、少しガッカリ。
市場の一角には美容室(散髪屋?)も営業していた。立地はともかく、ベトナム人女性の美に対する意識は非常に高いみたいだ。
ベンタン市場の後は、かの有名なドンコイ通りを散歩してみる。手元にある唯一のガイド「るるぶ」では約半分くらいが
ドンコイ通りの記述ではないかというほどの勢いだ。ベトナムが「プチパリ」と比喩されるのもこの通りが大きな要因とのことである。
確かに「コロニアルスタイル」って言葉がひったりくる感じの通りで、クラシックな雰囲気のホテルがずらりとしている。
日本女性が関心を抱くのも無理はない。
通りの最後にはかのホテル・マジェスティック(HOTEL MAJESTIC)が。 ベトナム戦争当時に開口健が滞在していたことで有名らしいが、
自分が生まれたか、物心が付いていない時代の出来事なのに、妙にその年代にノスタルジーを感じてしまうのが不思議だ。
マジェスティックの向かいはサイゴン川になっており、何隻かのジェット船が停泊していた。
行き先はブンタウ、港湾都市であり、リゾート地でもあるらしい。行程が1時間強で片道10US$というのは、
ベトナムの物価からすると相当高い気がしないでもないが、ベトナムのリゾートというも関心があるので、思わず乗り込んでしまった。
さすがに日本人らしい人は誰一人いない。香港とマカオ間のジェット船に似ていたが、客室乗務員がアオザイの女性というのはポイントが高いところ。
到着したのは想像していたよりも大きな港。ここからバスに乗り換えて街中に向かう。(バス代は船の運賃に含まれる)
車窓から見る限りでは工場も多く、家の造りからして裕福な印象を受ける。雑多なホーチミンと見比べてしまうからかも知れないが・・・
街中を抜け、海岸に突き当たったところがバスの終点だった。バス停近くには海に突き出したお洒落な感じのカフェがあり、
海に来たという実感が沸いてきた。しかし客はいない・・・
人気のない海岸線沿いを30分ほど歩くと岬の突端に出た。小さなビーチを歩いているとフルーツ売りのおばちゃんがやってきた。
昼ごはん代わりに謎のフルーツを買ってみる。表面が赤くて中は白い果肉にゴマのような種が。味はあっさりしていて大変美味しい。
惜しむべきは冷えていない点。
(後で調べたらドラゴンフルーツという名前らしい。)
海岸の先端の山頂にはキリスト像らしきものが立っている。周りには多くの仏教寺院があり、ましてやここは社会主義国ベトナム。
このミスマッチは何とも言えないが、きっと観光資源のつもりで建てたのであろうなと納得させられる。
そういえば淡路島の海岸沿いにも、まるでロボットのような釈迦像があったなと、変なことを思い出してしまった。
しかしここら辺りにも観光客の気配がない。幅広い道路にバイクのおじさんがたむろっているが、
ホーチミンに比べると客引きものんびりしたものだ。

しばらく歩くと大きなビーチが広がっていた。他のアジアのビーチのような毒々しい雰囲気はなく、寂れているが、
何か昔懐かしい雰囲気が漂っている。
外国人は見当たらず、ベトナム人の親子連れがまどろんでいる。そんな姿を見ていると過去の記憶が断片的ながら蘇ってきた。
物心付くか付かないかの頃に京都の城之崎ってところに連れて行ってもらったことがある。
あの時の私はこの子供、あの時の両親はこの夫婦なんだな・・・
普段親とは会話を交わすこともない今日この頃だが、こういう頃もあったんだということが改めて思い返される。
特に何ということのないビーチであるが、幼少期の現風景に触れた貴重な時間だったかも知れない。
帰りの船で中年女性と隣り合わせた。流暢な英語で話す彼女はアメリカ在住とのこと。
恐らくベトナム戦争前後に出国したのであろうと想像を巡らした。極めて平和なベトナムの現状であるが、
複雑な歴史が存在することを改めて思い返した。
知らないうちに心地よい眠気に誘われて・・・気が付けばホーチミンに到着間際であった。 乗船記念に客室乗務員を撮影。
ホーチミン川沿いにはイルミネーションを施した船が並んでいる。この船はナイトクルーズの遊覧船という訳ではなく、
船上レストランであるとのことである。中でも最も個性的なものは魚型の船であった。
片やイルミネーションの船上レストラン、片やマジェスティックやリバーサイドなどのクラシックホテル。
デートコースとしては抜群のロケーションである。
昼間あるいたドンコイ通りを再びあるいてみる。明るい町並みも風情があったが、夜景と照明によってより艶やかな雰囲気が漂っている。

コロニアル形式のホテルや有名な市民劇場、郵便局などが全てライトアップされており、神戸の旧居留地やハーバーランドの
クリスマスから年末に近い状態だ。 ここでルミナリエでもやれば、さらに日本人女性が殺到するに違いない。
バレンタインで配る安価なプレゼント選びにも一石二鳥な訳だし。 男としても、ホワイトデー前の仕入れには最適な町だ。
さすがに夜間の日本人はベトナム人と見分けが付かないのだろうか、客引きされることも無くなってきた。
公園内には小規模ながら遊園地があった。 メリーゴーランドもどきもイルミネーションがあって、
懐かしのデパート屋上遊園地を彷彿させる。 子供の時には母親に連れられて阿倍野の近鉄百貨店の屋上に行ったものだと、
ここでもノスタルジックな思い出が蘇ってきた。
どのくらい歩いただろうか、大きな通りに面した野外レストランに出くわした。 タイガービールのコスチュームのお姉さんたちがウェイトレスしているのを見て、
案の定、店に吸い込まれる私がいた。
日本のビヤガーデンといった感じであるが、昨日行ったビアホイの店よりは高級な店と思える。まずは、タイガービールとチャーハンを頼んでみる。
タイガービール以外にビアホイもあるようなので頼んでみた。ここのビアホイは氷を入れるのではなく、ちゃんと冷えているので結構美味かった。
メニューは大学ノートに手書きで書かれており、数十種類はあろうかという品揃えである。
フランスの影響?か、鳩や蛙、兎といったメニューが目を引いた。
無難なところで、鳩のグリルを注文してみる。 来たーっ!! 尾頭付き・・・ 味はというと全身が砂ずり(砂肝)って感じで、かなり噛み応えありだった。
話のネタとしては食べておくべきかも知れないが、正直言ってあまり美味しいものではなかった。
会計をしてみるとUS17$。店主は端数を負けてくれたとのことであったが、ベトナムの物価水準にしてはかなり高いかも知れない。
帰りはベンタン市場近くの公園をぐるっと回ってみた。 まるで京都の鴨川のようにカップルが等間隔で並んでいる。
公園中がデートスポットであり、時間の感覚が日本人よりも遅い(終電の時刻に影響を受けていないということからか?)、
女性の一人歩きでもそれほど危険ではない気がする。 昼間はこの公園は花見スポットにでもなるのだろうか・・・
ベンタン市場近くの果物屋さんで「フルーツの女王」マンゴスチンを購入する。 1USドル札を渡すと、ビニール袋一杯の
マンゴスチンが帰ってきた。 多少熟れ過ぎか、強烈な甘さである。
ファングーラオ返ってきて、カフェでコーヒーを飲んでいると、日本人の老人が近づいてきた。
彼曰く、定年後ベトナム各地をブラブラしているとのことで、私の宿探しを手伝いたいとのこと。
いぶかしがる私の表情を感じてか、すかさず彼は「単なるボランティアだよ。」と付け加えた。 怪しい、実に怪しい・・・
しかしながら、彼についていってみることにした。我ながら、警戒心が麻痺してきている感じがするのだが、安全な旅を心がけるているのとは裏腹に、アクシデントを期待している自分もそこにいる。
彼が紹介してくれた宿はThanhという所で、一泊10US$とのこと。 日本のビジネスホテルレベルでツインベッド、空調とホットシャワー完備というもので悪くはない。
まんざら彼は悪い人ではないかも知れない・・・
Thanh 住所:40/6 Bui Vien St. 電話:(84-8)8361924
E-mail:thanhhotel@saigonnet.vn
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