無料航空券を握り締め香港へ※デジカメ画像を紛失したので、写真はありません m(_ _)m 一昨年、噂の沢木耕太郎の復刻文庫版「深夜特急」を始めて読んだ。 貧乏旅行者にとって、この「深夜特急」という本が バイブルと呼ばれているということは、随分前のインド旅行中に教えてもらった。今まで読んでいなかった方が不思議なくらいではあるが、読む機会が無かったというか、むしろ避けていたかもしれない。 他人の旅行記に指示されたくない/影響されたくない、自分らしさへのこだわりというか、変な意識があって、この類の本には 端から懐疑的になっていたのだ・・・ 本屋に平積みになっている第一巻を手に取ってしばらく立ち読みしてみたのだが、実にそそられる内容である。 全六巻を購入した私は、その日中に一気に全巻を読破した。(読み終えたのは朝の4時だったが) 「沢木耕太郎というやつは、なんて情けないやつなんだ。」 私の率直な印象である。 彼が選んだ行程や、バスという移動手段は確かに面白いのであるが、そんなことは、この際どうだっていい。 沢木耕太郎という人間が、この「深夜特急」を通じて、自分の恥部を公衆に晒しているのだ。 そして、その恥部に共感する自分に、妙に照れ臭く感じている私。 これこそが、この本の本質なのだと、沢木耕太郎が聞いたら 烈火の如く怒り出しそうな解釈をしてみる・・・ *********************************************** 日本航空のマイレージが2万マイル貯まっているのだが、年末までに特典航空券に換えないとほとんどが失効してしまう。 急いで引き換え手続きをしなければ・・・ この時、「深夜特急」のことをふと思い返した。「そうだ、香港に行こう。」 強引ながら、沢木耕太郎の「深夜特急」の旅と、私が卒業旅行として最初に体験したインドへの貧乏旅行には妙な共通点がある。
@2人とも25歳の時を旅先で過ごしている。 しかし、彼と徹底的に違うのは、私は香港の空港をトランジット利用しただけで、香港への入国は未経験なのだ。
今となって考えると、返還前の混沌とした香港に入国しなかったことは、非常に勿体無い話である。 そうこう考えているうちに、旅行当日の朝はやってきた。 持ち物はパンツ2枚、Tシャツ2枚、靴下2足、短パン1つ、 これらを10年来使っているリュックに詰め込み、僅か5分の旅支度を行う。 ただし、現金はたっぷり5万円と、 CITIバンクのキャッシュカード。 外見は貧乏旅行、内面は結構リッチと言えなくも無い。 チンタラ準備をしていると、10時のフライトに遅れそうなので、南海のラピートを利用する。
いきなり貧乏旅行のコンセプトに反する行為だ。 しかし、今日はちょっと変だ、気分が悪くなってきた。 以前プーケットに行った時の事を思い出した。 高度が下がり体調はすっかり回復した。 もうすぐ香港国際空港に着陸だ。 前述のインド貧乏旅行の折の香港トランジットは、この香港国際空港ではなく、かつての啓徳空港(カイタック)だった。 ここ香港国際空港は、香港中央部は遠く離れた島にあり、広くて綺麗だ。
でも、最近の大型空港(シンガポールのチャンギや、マレーシアのKLIA、関空 など)って何か金太郎飴みたいに、
全部同じに見えてしまうのは私だけだろうか?
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空港鉄道(機場快線)は快適だが、割高なのだろう、8割方は空席のようだ。
大阪で言えば天王寺から「はるか」に乗る感覚なのだろうか。 事前調査によると、佐敦(Jordan)というエリアに安宿が比較的多いらしい。 赤い路線の地下鉄・ツェン湾線(ツェンは草かんむりに全)に乗り込む。
この地下鉄は青い路線の地下鉄・港島線と、中環駅、金鐘駅(Admiralty)の両駅に渡って並行する。 地下鉄車内はさしづめ携帯電話地獄とでも言おうか。 駅は当然として、海底を走行中でも通話可能であり、
無遠慮な喋りっぷりからは、車内での通話はマナー違反であるという概念は恐らく存在しないと思われる。 佐敦駅を上がると、整然とした中環とは違って雑然とした町並みが現れた。 もちろんホテルは予約していないので、これから宿探しだ。 小さな雑居ビルの、小汚い階段を上って宿に入ると、中から、超無愛想な老人(日本人)が出てきた。 1泊70HK$(約 千円)とのことだが・・・ うーむ。メチャメチャ汚い! 2段ベッドが隙間無く並んでいて、圧迫間満点! ほとんどの、宿泊者はベッドの一部と化して、 寝転んでいる。 インド旅行の際には、ドミトリーを好んで転々としたのだが、ここは、余りにも雰囲気が悪すぎる。 土ぼこりなどの汚れは平気 なのだが、この湿っぽい雰囲気では、ゴキブリの巣と化しているに違いない。 住めば都とは言うものの、サラリーマンのなんちゃって貧乏旅行には無用の宿って感じだ・・・ こちらも早々に退散し、宿探しを再開する。 佐敦駅に戻り、辺りの見回すと佐敦駅の真上の雑居ビルの一室に「南北酒店」
という看板が見えている。 ホテルとは言っても、僅か5部屋しかなく、3部屋あるシングルルームは全て埋まっているらしい。
空いているツインルーム(1泊260HK$)と、ダブルルーム(1泊250HK$)を見せてもらう。
値段交渉をしてみたが、雇われの身である彼女にはどうすることもできないらしい。 南北酒店(NORTH & SOUTH HOTEL) Tel: 2730 9768 |
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