裏目裏目に出る日
ドミトリーの隣人は予想外にマナーが良く、昨晩はぐっすりと睡眠できた。 ガイドブックには、九イ分という町が大きく掲載されている。
「非情城市」という映画の舞台となった地であるらしいのであるが、残念ながらその映画を見たことは無い。
九イ分の近くには金爪石という町があり、かつては日本人町として栄えたとのことだ。
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台北駅から九イ分、金爪石の最寄である瑞芳駅までは自強号で40分程度である。 瑞芳駅前には基隆客運のバスが発着している。
このバスは九イ分を経由し、終点の金爪石に至る。
金爪石のバスターミナルは綺麗に整備されていて、金鉱をテーマにした大規模なテーマパークの入り口が見える。
「どこが寂れた雰囲気やねん!」と思わず突っ込んでしまう。
テーマパークの展示館を抜けて高台に上ると、さすがに観光客も少なくなる。 ここには日本時代に「黄金神社」という
神社が建っていたということで、鳥居や灯篭の名残が残されている。 神社の本殿跡から見る海の風景は、非常に綺麗だ。 かつて100名以上居住していたという日本人も、遥か海の向こうの故郷を懐かしんだことだろう。
***************************** 復路のバスに乗ること5分くらいで、九イ分に到着した。
ガイドブックの記述とおり、凄まじい人の数だ。 ほとんどラッシュアワーの地下鉄並みの混雑だ。
芋入り白玉とタピオカが乗ったカキ氷の店が目立つ。 どうやらこれが九イ分の名物デザートであるらしい。 しばらく九イ分を散策してみたが、私とはあまり相性が良く無さそうだ。 とっとと台北に引き返す事にした。
***************************** 台北駅でMRT(地下鉄)の一日乗車券(150元)を購入した。 数年前に台北に来た時に比べてMRTの路線が大幅に拡充されている。 気のせいか、道路の混雑状況もかなり改善されている感じだ。
朝からカキ氷しか食べていないので、少し遅い目のランチを取ることにする。 MRT淡水線の古亭駅を降りて北東に向うと、
グルメの町「永康街」に辿り着く。 ここでのお目当ては、言わずと知れた鼎泰豐(鼎泰豊)本店の小籠包である。
(ディンタイファンと発音する)
念願の小籠包が目の前に運ばれてきた。 確かに美味しいのであるが、日本で食べるものと大幅に違う訳でもない。(当たり前の話なのだが・・・) 本日は自分でも珍しく計画性を発揮して、食後のデザートもリサーチはバッチリだ。
永康街を南に下ると、氷館(Ice Monster)の本店があり、こちらにも数十人の行列が出来ている。
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MRT板南線の市政府駅を南に下ると、世界一の高さを誇る「台北101」がそびえたっている。 低層部分は三越やショッピングモールになっており、世界最速のエレベータを使って上層部の展望台に行くことができる。 この展望台への待ち行列がハンパな人数ではない。 また入場料も350元(一番上の展望台までなら、さらに100元)と高飛車な値段である。 台北101も私とは相性が良くないようだ。 展望台を上らずにこの場を去ることにする。
***************************** MRT淡水線の北の終点には、夕日の名所である淡水の街がある。 かつては港町として栄えた所であるが、今は気軽な観光地として台北市民から人気がある。
MRTを乗り継いで淡水に着いた時には既に陽は沈んでいたが、辛うじて夕日を見ることは出来た。
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MRT淡水線で北投駅まで戻り、支線に乗り換えて終点の新北投駅に戻る。
ここには戦前に日本人が開発したという、北投温泉がある。
駅前には大きな温泉宿が建ち並んでおり、さながら有馬や熱海のような感じだ。
一軒の温泉宿に立ち寄り、ビジター利用が可能であるか訊ねてみた。 250元で内湯が利用可能とのことだ。
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温泉の後は遅い夕食ということで、士林夜市に繰り出す。 数年前に来た時には、MRT士林駅近くにあった狭くて小汚い屋台街に全ての店が集中していたが、
現在は買い物系の屋台のみが元の場所に残り、食べ物系の屋台は隣のMRT剣潭駅前にできた、巨大なフードコートに移転している。
大根餅と台湾ビールという王道メニューで、一日の疲れを癒す。 やはり台湾は安飯が最高だ。
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まだお腹には余力を残しているので、台湾最後の晩餐はお粥で締めることにする。
ニュートラムのような新交通システムである、MRT木柵線に乗り換え、科技大楼で下車し、復興南路沿いを北上すると、通称「お粥横丁」が出現する。
何軒か並んでいる粥店のうち、「永和清粥大王」という店に入ってみる。
麻婆豆腐と高菜を選んで待っていた所に運ばれた来たのは、日本の粥と同じような清粥であった。(サツマ芋入り)
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最終日の朝は始発のバスで、中正国際空港へ向う。 もちろん、ビジネスクラスの特権をしゃぶり尽くすため、ラウンジ利用は外せない。
ノースウェストはラウンジを持っていないので、中華航空のラウンジ券が渡される。
搭乗口の前では、3日前のロンドンでのテロ未遂の影響により、液体系の物は全て没収されるとのことだ。
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