高雄と台南の夜市を巡る
夜行バスは高速道路を約5時間、休憩無しで走り、早朝4時に高雄に到着した。 運転手1名での過酷な運用も、このバスの格安要因かも知れない。
数箇所の停留所で客は次々に降りて行き、最後に残った私に向かって運転手が下車を促す。 終点のようであるが、ここが高雄市内のどこなのかが良く分からない。
道路の標識には「九如三路」と書いてある。 大阪の台湾観光協会
でGETしてきた高雄の地図によると、高雄駅の北側の道路を西側に進んだあたりのようだ。
早朝のグルメスポット見学として、高雄駅の南側にあるという「六合夜市」を目指す。 線路を渡るのに手間取って約1時間を要したものの、5時前には六合夜市に到着した。
ほとんどの店が閉店準備を始める中、ご飯系の屋台で「鶏肉飯」を食す。 わずか20元、甘く煮たささみをご飯にかけただけのシンプルな料理ながら、これは絶品だ。
ごはんも日本米と全く遜色ないというか、かなり美味しい部類だと思われる。
隣のジュース屋台には、数多くのサインがしてあって、かなりの有名店であるようだ。 ここでは台湾名物のパパイヤミルク(木瓜牛乳)を頼む。 これもまた絶品だ。
淡白なパパイヤが濃厚な牛乳と混ざりあうことによって、新たな味を作り出す。 これぞ食材のマリアージュというやつだろうか。
******************************
空がそろそろ白んできた、高雄駅の南側にある建国二路という通りを徘徊してみる。 この道の両側には数多くの電気店が並び、秋葉原や日本橋のような雰囲気だ。
(ただし、日本のようなオタク系店舗は少なく、純粋な電気店が多いようだが・・・)
建国二路を東に進み、三鳳宮という寺院に辿り着いた。
図書館で借りてきた「るるぶ」の情報によると、南台湾で最大の道教寺院ということだが・・・
「道教って何?」という根本的な知識不足が問題だ。
寺院の前の広場はホームレスの方々の憩いの場所となっているようで、彼らに混じって休憩する謎の日本人に困惑気味のようだ。
建国二路をさらに東に進むと、愛河という川に到達する。(川というよりは、河口と海が混じった感じだが・・・)
台湾観光協会が選ぶ「台湾八景」というものがあって、高雄からはこの愛河が選定されている。
川の対岸には、音楽ホールと高雄歴史博物館という建物がある。
この高雄歴史博物館は日本時代に高雄市役所として建てられたものであり、
日本人建築家によるコロニアル建築として、代表的なものであるとのことだ。 確かに同時代の日本国内の建物と比べても美しく個性的な建物だ。
公園を越えてさらに南に下ると、高雄港の埠頭に突き当たる。 手元の「るるぶ」には、ここから高雄港内の遊覧船が出航するとの情報があるのだが、
遊覧船は停泊しているものの、チケットカウンターも閉まっていて、出航する雰囲気は全く無い。 残念ながら高雄港遊覧は断念する。
市場の中に客が並んでいる店がある。 豆醤(豆乳)と点心の店のようだ。 焼き韮饅頭、焼きあんぱん、大根餅とコーヒー豆乳で、かなり早い昼食とする。
隣に座っている女性が日本語で話し掛けてきた。
「日本人の方ですか?」と。
さりげなく食事をしていたつもりだったが、やはり日本人オーラは消せなかったようだ。
東京に留学経験があるという彼女に、高雄の見所を訊ねてみた。 彼女曰く、やはり最高の見所は愛河の夜景だそうだ。 しかし、夜まで待たなければならないのは退屈だ。
彼女自身のお気に入りスポットはと言うと、新堀江という若者が集まる街ということだ。
「大阪にも堀江という若者の街があるよん!」と蛇足情報を教えてあげる。
******************************
愛河の河口あたりには多数の警備艇が停泊し、その遠方には高層ビル群が並んでいる。 ここに来るまでは、高雄というのはのどかな南国の町と想像していたのだが、
実際の高雄は非常に近代的な大都市であった。 アジア有数の港湾都市である訳であるので、当然ではあるのだろうが、ある意味ガッカリではある。
高層ビル群の中でもひときわ高い建物は、高雄一番の高層ビルである「高雄85」である。
高雄85には高級ホテル「金典飯店」が入っており、最上階には展望台もあるらしい。 高雄港クルーズを断念した代わりに、せめて高雄港の風景を上からでもと、
入場料100元を払って展望台に上る。 まま、想像通りの近代的な港である。
高雄85近くには、そごう、三越とお馴染みの百貨店が並んでいる。 店の構造や店員の対応は日本の物と同じであるが、ブランドの品揃えはやや乏しい感じだ。
ものはついでと、先程出会った女性から勧められた新堀江にも行ってみる。 平日の昼前と言うこともあってか、閉まっている店が多く、歩いている人も皆無だ。
偏見かもしれないが、台湾人というのは基本的に夜型の人々のような気がする。 夜市の賑わいと、昼間の死んだような繁華街のギャップは非常に大きい。
「豆花」の店に入ってみる。 豆花とは分かりやすく言うと、デザート仕様の冷奴であり、醤油の代わりにシロップやフルーツをかけて食べる。
紅豆(小豆)のかかった豆花を食べてみる。 紛れも無く冷たい豆腐である。 あっさりしていて美味しい。
TVではロンドンの空港でテロ未遂があったことを伝えていた。(ここでもう少し真剣に情報収集しておけば、後々良かったのであるが・・・)
正直、高雄という街に飽きてきた。 実質3日の旅程を考えれば、先に進んだほうが得策である。 次の目的地は台湾の古都と呼ばれている、台南と決めた。
高雄市公車(台湾では市バスの事を「公車」と呼ぶ)に揺られて、高雄駅まで戻ってきた。
高雄駅には新駅舎がるのだが、日本時代からの旧駅舎も大切に保存されている。 どことなく、JR奈良駅の旧駅舎に似ている気がする。
高雄から台南までは、日本の特急に相当する「自強」で約30分、大阪と京都くらいの感覚だ。
社内は日本の在来線特急にそっくりだが、グリーン車に相当するものが無い。 一応全席指定らしいのだが、座席指定料金は無く、座席は早いもの順に割り当てられる。
満席になった時点から立席(自由席)となる仕組みのようだ。
ちなみに車両は電気機関車が客車を引っ張るタイプのもので、韓国の現代製である。 さすが韓国製だけの事はあって、相当の欠陥商品であるらしい。
あまりの欠陥ぶりに、過去には台湾と韓国外交問題に発展したこともあるらしいから、ハンパなもんじゃない。
実際の乗り心地はというと、あまり滑らかでない発車の上に、加速も極めて遅い。
しばらくすると、「左営」という駅に差し掛かった。 駅のすぐ横には立派な車両基地がある。
これが噂の台湾新幹線の車両基地なのだろうか・・・
******************************
幸い自強はトラブルも無く、無事に台南駅に辿り着いた。 見上げる台南駅の駅舎もまたレトロな建築物である。
本日はこの町で宿泊しようと思う。 通りかかった西洋人に安いホテルの所在を訊ねると、駅の周りのホテルであれば比較的安いとのことだ。
台南駅の対面には、駅前ロータリーに沿ったような円弧状のビルがあり、何軒かのホテルの看板が掛かっている。 このビル自体がホテルという訳ではなく、
ビルのテナントとしてワンフロアに入居している形態だ。 香港の安宿に似ている気がする。
ビルの3階の「玉」というホテルに行ってみる。
このホテルの英語表記は「Takatama Hotel」、すなわち日本語の発音である。
にこやかに対応するフロントの女性は、多少年季が入っているものの、かなりの美人である。
彼女の案内で客室を確認した。 窓側の部屋で1200元、窓無しの部屋だと960元とのことで、どちらもベッドは広く、部屋は清潔である。
バスタブは無くシャワーのみではあるが、台湾のホテル物価から考えると、かなりコストパフォーマンスの高いホテルなんだろう。
夜寝るだけなので窓無しの部屋で十分だ。
シャワーを浴びた後、遅い昼飯を食べに出かける。 台南の名物料理で真っ先に思いつくのは「台南担仔麺」である。
手元の「るるぶ」によると「度小月」という店が元祖担仔麺であるらしい。
有名店のわりには比較的狭い店舗で、調理場も屋台の雰囲気を残している。
シンプルな担仔麺の上に、煮卵、腸詰、肉団子をトッピングする。 確かにスープは美味しい。
麺のコシが日本のラーメンレベルであったら、さらに美味しいのではと思うのであるが・・・
台南は「台湾の京都」と呼ばれる古都であるらしいのだが、私の眼には台北や高雄に劣らない、近代都市に見える。
京都のように観光名所が分かりやすく配置されている訳でもない。 どこを観光すべきか・・・
駅前でたむろしている、タクシーの運転手の一人が声を掛けて来た。「あんた日本人だろ? 大方の日本人だったら安平古堡に行くよ。
あんたもそうだろ? 案内してあげるよ。」
ホテルのフロントで貰った台南の観光案内によると、「安平古堡」とは17世紀に台南を支配していたオランダによって築城された古城とのことだ。
安平古堡からの夕日の眺めは、台湾八景に数えられているという。
有用な情報を提供してくれた運転手に感謝しつつも、貧乏旅行の掟として、公共交通機関で安平古堡に行くことにした。
すぐに見上げたバス停の行き先表示には「安平」の文字が。 いとも簡単に交通手段が見つかった。
台南市公車(市バス)に揺られること数十分。 安平古堡に辿り着いた時には日没が迫っていた。
残念ながら入場ゲートは既に営業を終了しており、城内に入ることは叶わなかったが、周辺の町は古い漁村の風情を残しており、
夕暮れの散歩にはもってこいである。 海からの風も心地よい。
******************************
台南の夜も、やはり夜市に繰り出す。 町の中心から北に30分くらい歩くと、台南最大の「小北夜市」に辿り着く。
高雄の夜市のように路に屋台が並んでいる訳ではなく、常設のアーケードに店舗が入居している。 かなり観光地化されているとも言える。
台南の夜市で名物であるという「棺材板」という料理にチャレンジしてみる。 見た目が棺に似ているからとは言え、凄いネーミングセンスではあるが・・・
食パンを油でこんがり揚げたものを、器のようにくり抜き、中にクリームシチューを入れるという料理である。
料理に台湾の要素はまるで無いが、夜市料理というのは、元来こんなもんなんだろう。
棺材板を肴に台湾ビールを楽しむ。 酒飲みの自分でも不思議ながら、これが台湾での初アルコールだ。
|