ファングーラオの安宿街にてホテルを探す(9月18日)

バス通り  椰子の実ジュース売りのお兄さんが私に向かって何かを叫んでいる。どうやらバスが来たことを教えてくれたようだ。  バス内から手招きする女性に従い徐行中のバスに飛び乗った。しかしホーチミンは老人に優しくない街だ。
 バスの乗車もそうであるが、道路の横断に至っては老人にとって命懸けの大冒険となる。  気のせいか街中には老人の姿は少なく感じた。

 手招き女性の正体は車掌さんだった。1,000VD(ドン)を渡すとチケットをくれる。  ちなみに空港で両替したときには千円が120,000VDになった。端数がないのは良く分からないが、 翌日市内で両替したときには10US$が152,500VD。(当時のレートで1US$は約124円)通貨が違うので一概には言えないが、 空港での両替は最小限に止めておくべきかも知れない。
 さらに面白いことにはUS$がそのまま流通しているという点だ。ほぼ1US$=15,000VDの固定レートで取引されている。  ただし値切るときにはVDの方が単位が細かくて有効だったりもする。

 ところで、バスには乗ったものの「どこに行くねん」という感じ。計画性のない旅ではあるが、  ベンタン市場の近くに安宿街があることは事前にチェックしてきた。正直、バスに乗りさえすればベンタン市場に連れて行ってくれると、 たかをくくっていた私にとって、訳の分からないバスターミナルで終点になったときには、 正直、バチが当たったと実感した。
 私の持つ唯一の地図らしい地図である、図書館で借りた「るるぶ」を見ても現在地はさっぱり分からない。  金を払ってでも個人旅行用のガイドを買うべきだった・・・

 あたりの乗客に尋ねまくり、ようやく発見したバスでベンタン市場前のターミナルに到着した。 バス内では隣のおばさんが身振り手振りで、「お金は分散して持ちなさい」と注意してくれた。  やはり引ったくりやスリが多いというのは本当なのかな。とりあえず市場に行くのはベトナムに慣れてからにしよう。

 ベンタン市場から西に数百メートル歩くと、安宿が多い地域に到着する。  北にファングーラオ通り(Pham Ngu Lao :フォングーラオ通りとも言う)、南にブイビエン通り(Bui Vien)、 中央を南北にデタム通り(De Tham)が貫く、極めて小さなエリアに、何十という安宿やドミトリーが集中している。  かつて行ったことのある、カルカッタのサダルストリートにも劣らない、れっきとした安宿街である。
 (安宿街にしては比較的小奇麗であるが・・・)

 ここまでのわずかな距離にもかかわらず、バイタクとシクロの勧誘はかなりウザかった。  もっとも、大阪での宗右衛門町や戎橋のキャッチに比べたら可愛いものか・・・
ANANの室内  ブイビエン通りに入り、パキスタン料理店を過ぎて、最初に発見したホテルのおねえさんが手招きする。 とりあえず部屋を見せてもらった。  かなり広い部屋でキングサイズベッド、バス付きで16US$とのこと。相場が分からないが、とりあえずここに泊まってみよう。

ホテルの名はANAN(平和という意味らしい?)といって、11階建・各フロア2部屋という超細長ビルである。  日本人客が多いが連休が終わって大挙チェックアウトしたとの事なので、連泊する条件で値切ってみたが、ビタ一文負けてくれなかった。  でも、実際泊まってみると綺麗だし、明るいしで悪くない宿であった・・・

 ANAN 住所:40 Bui Vien St. 電話:(84-8)8365664 E-mail:ananht@hcm.vnn.vn

フォーの屋台

 ホテルの部屋には大画面のTVがあり、NHKの衛星放送(国際放送版)も受信可能である。 そう言えば昨日から情報隔離されているため、 ニュースに飢えている。
 そう、歴史的な小泉総理の北朝鮮訪問&金正日との会談結果を知らずして出国してきたのだ、どうなったのだろうか?  TVからは8名死亡という悲劇的な結論が告げられた。 横田夫妻の涙の会見を見て気が重くなった。  CNNや地元TV局もこの話題で持ちきりである。
 マーフィーの法則ではないが、何故か海外に出ている時に限って、日本人ネタの国際的事件が起こるのだ。  以前マレーシア滞在中の折には、ギリシアで日本人観光客を乗せた観光バスがハイジャックされるという事件に、 しばしTVに見入ってしまったことがある。

 拉致報道の精神的ショックを和らげるために、食事に出ることにした。 「ベトナムに何しに行くの?」旅行計画を知った友人の多くが、 尋ねる質問だ。 特に目的のない貧乏旅行の身には返答に困る質問だけれど、「ベトナム料理を食いに行くねん。」というのが、 一番説明しやすい理由付けだ。
 ブイビエン通りを西に歩けば、フォー(Pho:汁そば)、コム(Com:ごはん+おかず)といった看板が目に入る。  まず入った(というか路端に座った)のはフォーの屋台であった。

フォー1杯目  一杯8,000VDの最初のベトナム料理はいたってシンプルであった。米の麺をイメージしていたが、 ここはラーメンのような小麦麺であった。しょっとしたらフォーではないかも?
 スープはあっさりとした醤油仕立てで、どちらかというと関西風うどんダシに近い。  トッピングも肉、野菜と充実していて、はっきり言って旨いの一言だった。これだったら毎日食べても飽きないだろうな・・・。
 ちなみに椅子は日本でいうとお風呂用のものに近いもので、座ると言うよりしゃがむ感じ。

フォーの食堂 フォー2杯目  勢いに任せて2件目をハシゴする。今度は一応食堂の体をなしている店に入る。  席につくとテーブルにどさっと葉っぱをもった皿を置いてくれた。葉っぱは2種類で、一方は恐らくミント、 片方は春菊のような形をした見知らぬものだった。

 葉っぱをかじりながら待っていると、フォーと茹もやし、ライムと唐辛子の薬味の3点セットが運ばれてきた。  今度のは米の麺で茹で加減はかなり柔らかい。ダシは先ほどの店とほぼ同じ。  以降の店でもだいたいフォーを頼むとこの組み合わせであった。
 これで10,000VD、屋台と食堂にはあまり価格差はないようである。
 ちなみに食堂ではかなり立派なおしぼりが出てくる。使用すると1,000VDかかり未使用だと請求されない仕組みである。  ハーブが利いていて1,000VDの価値は充分にあると思った。

 ブイビエン通り沿いにはCDやDVDの海賊版ショップが数多く存在する。 CDは10,000VD、DVDは20,000VDだったので、 中国語とフランス語のバイリンガルな「アメリ」を購入してみる。(DVDのリージョンは3なので注意が必要。)


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