カオサンへの帰還
本日の13時10分の便でシェムリアップを後にするので、アンコールワットを見に行っている余裕はない。
シェムリアップの市街地を探索することにする。
国道6号線を東に進むと、こ綺麗な公園があり、公園の向えにはシアヌーク前国王の別荘(シアヌークビル)がある。
カンボジアの正式名称はカンボジア王国(Kingdom of Cambodia)。
かつての社会主義国をイメージしてきた観光客にとっては、この新しくて自由な雰囲気には驚くかも知れない。
内戦時代の10年前までは更地だったという理由もあるが、シェムリアップの町並みは新しくて美しい。
整然とならんだコロニアル建築の建物の中には、小洒落たカフェやフレンチレストラン、そして美容サロンなどが多い。
日本では、ホーチミンとシェムリアップの周遊ツアーが人気らしいが、ホーチミンのドンコイ通り同様に、
ここシェムリアップも日本人女性には受ける気がする。
もちろん国際観光地だけあって、インターネットカフェが充実している。
1時間あたり0.5ドル(2000リアル)から1ドル(4000リアル)くらいが相場である。
20分で0.25ドル(1000リアル)の店を利用してみるが、スピードが若干遅い点を我慢すれば、まぁまぁ使えるレベルだ。
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シェムリアップには、セントラルマーケットとオールドマーケットという、2つの市場がある。
セントラルマーケットは天井の高いアリーナ状の建物に、土産物店やフードコートが並んでいる。
どちらかというと観光客向けの市場と言っていいだろう。 視界が広い分、閑古鳥が鳴いている印象が強い。
ツアー客は高級ホテルや免税店の土産物店を利用するだろうし、個人旅行者はもっと街中の安い店を利用するだろうから、
中途半端感は否めない。
一方、オールドマーケットは主に地元民向けの、食品売り場や衣服売り場が所狭しと立ち並んだ、とても活気のある市場だ。
照明が少なくてちょっと薄暗い所が、ラオスで見たタラート・プーシーやタラート・サオに似ている。
オールドマーケット内には食堂街があり、出勤途中のOLといった女性たちが朝食を食べている。
汁そばの店に座って一杯頼んでみる。 米の麺と少し甘めのスープ、まさにベトナムのフォーそのものだ。
これもカンボジア料理の一つなのだろうけれど、結局カンボジア料理の全体像を把握せずじまいであった。
ルアンパバーンで会ったメグさんは、「カンボジア伝統のクメール料理はあまり美味しくないので、食べない方がいいよ。」
と言っていたが、今となってはどれだけ不味いものなのかを検証するすべもない。
「貧乏旅行の掟」に反して、安易に日本食三昧してしまったことを、少し反省しなければなるまい。
手持ちの現金を確認する。 26ドルと2000リアル。 必要なシェムリアップ空港の空港利用料25ドルと、
町から空港までのバイタク代1ドルを差し引くと、2000リアルしか使えないことになる。
最悪の場合には手持ちのタイバーツを両替すれば良いのだが、それとて最低限の金額しか持っていない。
1000リアルの水を買って、後は1000リアルのみ。 最後に何かカンボジアらしいものを食べたい・・・
と、ある屋台に若者が群がっている。 小さなバゲットに切れ目を入れて、アイスクリームを乗せ、ココナツミルクをかけている。
これで、1個たったの500リアル(12.5セント)とはかなりのお買い得だ。
堅目に焼かれたバゲットの食感が、サクサクしていて、とても美味しい。
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タケオゲストハウスで1ドルのバイタクを頼み、シェムリアップ国際空港に向かう。
シェムリアップ国際空港の搭乗待合室はかなり広くて豪華なのだが、隣接地にさらに新しいターミナルが建築中のようだ。
「出国税の25ドルは、新しいターミナルに使われています。」と新しいターミナルの模型が展示されている。
しかしカンボジアの物価水準からすれば、25ドルというのは物凄く大金であると事には違いは無い。
今のターミナルで十分だから、空港利用税を安くしてくれ、と願うのは私だけだろうか・・・
バンコク行きのバンコクエアウェイズが到着した。
こちらの機材もラオス航空と同じATR72だが、何故だかプロペラの枚数が違う。
ラオス航空のプロペラは4枚の羽だったのに対して、こちらは6枚の羽を持っている。
資金に余裕のないラオス航空が、プロペラの枚数をケチったのか???
中に入ると空調が効いていて、座席もリクライニングできる。 ラオス航空の蒸し風呂&リクライニング無しは、
ATR72の機体の仕様かと思っていたが、選択したグレードの差のようだ。
客室乗務員も男女2名で、男性の方は日本語のアナウンスもできる。 さすがは航空大国タイの旅客機だ。
機内販売では、なかなか可愛いオリジナルTシャツやポロシャツが販売されている。
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ドンムアン空港で入国手続きをすませると、第一ターミナルのアマリエアポートホテルへの連絡橋を渡ると、
ドンムアン鉄道駅のホームに出られる。
駅員からファランポーン駅へのチケット10バーツを購入すると、タイミング良くバンコク行きの列車が到着した。
タイの鉄道はノロノロ運転で有名だ。 ドンムアン駅とファランポーン駅は25km程度の距離なのに、1時間以上もかかる。
車輌がグダグダという訳でなく、速く走る所は速いのだが、いかんせん信号待ちの停車がやたらに長い。
特に南方面の列車が分岐するバンスー駅では、10分近く停車した。
勿論100バーツを払ってエアポートリムジンバスに乗れば、快適で速い移動が約束されているのだが、
特に急ぐ必要もない場合には、1/10の価格で旅情を楽しむのも、また一興だ。
ファランポーン駅の西側にはヤワラーと言われるチャイナタウンが広がっている。 一応はこの界隈も安宿街として有名らしい。
駅のすぐ近くにあるロータリーの南側には、半分廃墟と化したビルが建っている。 これこそ悪名高き「ジュライホテル」の残骸だ。
かつては、怪しげな日本人バックパッカーの溜り場で、知人の「不良中年」こと浜田氏も、青春の日々をこの宿で過ごしていたらしい。
安宿を探してみるが、どこもかしこも小汚くて怪しげだ。
ラオス、カンボジアのコロニアルな雰囲気に慣れてしまっているので、中華街の雰囲気にはどうも馴染めそうにない。
往年のバックパッカーへのオマージュとして、ヤワラーに泊まろうなんていった、安物のセンチメンタリズムなどは持ち合わせていない。
早々にヤワラーを引き上げることにする。
インフォメーションでカオサンへの行き方を尋ねると、駅前から53番の市バスに乗るとよいとのことだ。
タイの市バスにはエアコン無し、エアコン有りのものがあり、エアコン無しは距離に関係なく一律料金、
エアコン有りは距離に応じて料金が変わるという、不思議な料金体系である。
3年前に市バスに乗った時には、3.5バーツだった記憶があるのだが、今回は6バーツを請求された。
値上げされたのか?、それともバスのグレードが高いのか?
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53番のバスはヤワラー通りを通って、チャオプラヤ川沿いに北上する。 プラアティット通り(Phra Athet Rd.)沿いのユニセフ前で降車すれば、カオサンはすぐ近くだ。
「カオサンの寺」ことワット・チャナソンクラム回りのゲストハウスを物色する。
紫色が目印のサワディー系列である、サワディー・クルンテープ・インというゲストハウスで部屋を見せてもらった。
そこそこ広いシングルルームでファンとホットシャワー付き、380バーツなり。 バンコクの物価水準からすると妥協しても良さそうだ。
久々に見たカオサンは拡大を続けている印象だ。 かつて比較的静かであったワット・チャナソンクラムの北側の通りも、
完全にカオサンの歓楽街の一部となっている。
カフェやクラブには外国人に混じって、お洒落なタイ人の若者もたむろしている。
タイ到着後の最初の食事は、もちろん屋台の王様「バッタイ」である。
卵入りバッタイ20バーツ(卵無しは15バーツ)に、揚春巻き10バーツを添えて、満足できる一品だ。
昨日までは、所持現金を気にして倹約生活だったが、ここバンコクでは少し事情が違う。 街中に24時間ATMが溢れており、
国際対応のキャッシュカードを持っていれば、いつでもどこでも現金が入手できる。
(最低引き出し金額は、銀行によって200バーツの所と、500バーツの所があるので注意が必要)
我がシティバンクのキャッシュカードも大活躍だ。
以前から気になっていた、イスラエル料理店「チョハナ」もトライしてみる。
野菜で出来た団子のようなものと、チキンカツのようなものをオーダーする。
味は微妙・・・
本日の締めとして、タイ古式マッサージを堪能する。 1時間で160バーツ〜180バーツがカオサンの相場のようだ。
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